第1子出産年齢の平均は28.6歳(2003年)。 30代での出産が20代の出産を1万件上回ったようです(厚生労働省統計より)。 以前は、漠然とあった結婚適齢期が、今では「結婚したいときが適齢期」という意識に変わってきたように、 妊娠適齢期も「産みたいときが適齢期」と考える人が増えているようです。
意識の上ではボーダレスになってきている妊娠適齢期ですが、はたして医学的にみたらどうでしょうか…?
もちろん個人によって違いはありますが、30〜40歳代でも安産だったという人はたくさんいます。 そのため「産もうと思えばいつでも産める」と思われがちですが、医学的見地からは必ずしもそうとはいえないのです。
卵子をつくる、各種ホルモンを分泌するなど、妊娠・出産の中心的な役割を担うのが卵巣ですが、 その機能は、30歳代半ばくらいになると少しずつ衰え始め、50歳前後の閉経と同時に停止します。
つまり、医学的見地からは、妊娠に適しているのは卵巣が活発に機能している20〜30歳代前半である、 ということがいえそうです。
国連の世界保健機構WHOや国際産科婦人科会では、 35歳以上での出産を高年齢出産と呼んでいます。 日本産婦人科学会では、以前は30歳以上の初産を高年齢出産と定義していましたが、 1993年以降は35歳以上の初産を高年齢出産としています。 30歳以上の出産が増えたからということもありますが、 さまざまな研究結果から35歳以上で初産の場合にはリスクが高くなることから変更されたのです。
女性は、生まれた時にすでに卵巣の中に卵子の元になる細胞を数百万個持っています。
その細胞は、新たに生産されることはなく、加齢とともに老化減少します。
老化によって卵子の質が低下すると、受精しても着床しにくい、細胞分裂が正常に進まない、
などといったことになる確率が高くなります。
その結果、自然流産率や、胎児に染色体異常がみられるリスクも増加します。
自然流産の確率は、30歳前後で10〜15%、40歳を過ぎると20〜30%にもなります。
排卵前の卵子は、細胞分裂を途中で休止した状態で卵胞内に維持されます。
細胞分裂を休止している間は、通常の細胞内で起きている修復プロセスが行われないため、
年齢が高くなるにつれ卵子に損傷が生じる可能性が高くなります。
高年齢出産に染色体や遺伝子の異常が生じやすい、といわれるのはこのためです。
年齢が高くなると、高血圧や高脂血症などの生活習慣病のリスクが高くなります。
それによって、母体の腎臓や肝臓に機能障害などをもたらす[妊娠高血圧症]になる人が増えてきます。
※日本産婦人科学会では、2005年4月より[妊娠中毒症]の名称を[妊娠高血圧症]に変更しました。
年齢が高くなると体力・筋力も低下します。 骨盤の周りの筋肉や靭帯も柔軟性が乏しくなり、産道が固くなる人も増えてきます。 また、陣痛が出産途中で弱まって難産になるケースもあります。
[子宮筋腫]や[子宮内膜症]を合併することが多くなるため、 流産・早産のリスクが高くなり、また分娩時のトラブル(出血難産)などが増えます。